05 強大な敵!ティアでも苦戦!相手は大陸外の勢力!

そして、2日が経過。フェディス歴1874年7月24日。

「完成しました!!」

シュロス学園のトルーパー格納庫にティアの姿があるが、ティア専用機の機体が完成した。

「とんだ化け物を作り上げたもんだな俺達…」

それに携わったジョルズは呆れてものを言う。他の技術者達も動揺の反応である。

「さて、試運転試運転♪」

と、ティアはそのトルーパーに乗り込もうとしたそのとき、爆発音が響いた。場所は校庭である。

「なんだ!?」

ジョルズは驚きの声をあげる。

「大変です先生!」

そのとき、一人の男子生徒が現れた。

「正体不明の巨大なトルーパーが校庭に現れました!しかもそのトルーパー、巨大なビームサーベルを!」
「「ビームサーベル!!?」」

ビームサーベルという言葉を聞いて、ティアとジョルズは驚きの声をあげるも、ティアの表情は目を輝かせている。
その校庭に、その巨大な白いトルーパーの存在があった。右手には大型のビームサーベルがある。シュピゲールが次々と出撃して応戦するも、あのシュピゲールがことごとく撃墜されている。

「雑魚には用はない!司令官を出せ!!」

そのトルーパーの男性パイロットは司令官を指定。トルーパーの左手には撃墜したシュピゲールの残骸があった。そして、大型ビームサーベルの刃がシュピゲールのコックピットに近づく。

「うわぁーーー!!!」
「「カーグ!?」」

そのシュピゲールのパイロットが機甲兵科5年のカーグ・ベンナー。同級生であるコーレルとエディナがカーグの名を呼ぶ。2人はシュピゲールに乗って、そのトルーパーと戦ったが敗れた。そしてカーグが風前の灯火。

「そこまでだ!!」

そのとき、シュピゲールを駆るヴェルディが現れた。ヴェルディ専用にシュピゲールが赤くペイントされている。

「アルバーノの司令官とお見受けする。ヴァロビニア島で我が軍を探っていたのは貴官の部隊か?」
「いかにも。名を名乗れ」
「失礼した。わたしはヒムナス・ターライナー。神聖ヴァルファーレ帝国皇帝直属ウラヌスが一角、クレイン・フォン・ミュッケンベルグ様が直属の騎士!」
「ヴァルファーレだと!?」
「機体名はサートブレク。そちらの人型機動兵器はトルーパーと呼ばれているが、こちらの人型機動兵器はキャバリーと呼ぶ。ついでに説明するが、我が主武装はこのビームの剣なり!」

人々は動揺した。神聖ヴァルファーレ帝国の機体がこの場に現れて攻撃を仕掛けてくることを誰もが予想できなかった。
トルーパーとキャバリーは同じ人型機動兵器だが、キャバリーのほうが先進的である。その証拠にコックピット内が全天周囲モニターとなっている。360度見渡しても周りがモニターで、イメージでいえばコックピットの椅子だけが浮いているような感じである。しかもトルーパーの2倍近くの全長を有するが、性能は圧倒的にキャバリーのほうが高い。サートブレクの全長は約16m前後。
サートブレクがカーグが乗っているシュピゲールの残骸を放り投げると…。

「抜刀!」

右腰部から、もう1本の大型ビームサーベルを左手に取った。普段、大型ビームサーベルは両腰部に格納されている。

「うおおお!!」

ヴェルディが駆るシュピゲールは高周波振動剣ガルヴァブレイドを右手に持って、サートブレクに立ち向かった。

「姫様を援護しろ!!」

他のシュピゲールとグレイギスとグレイサがライフルを持ってヴェルディを援護する。

「甘いな」

しかし、サートブレクはビームサーベルを構えて、ライフルから放たれる弾丸を完全に防ぐ。

「そこだ!!」

一瞬の隙を見つけたヴェルディはガルヴァブレイドを振り下ろした。だが、攻撃を受けたのはヴェルディのシュピゲールのほう。ガルヴァブレイドを持つ腕が切断された。さらに両足も切断。

「ここまで違うのか…」

ヴェルディは絶望した。そしてディアナの言葉を思い出す。

『手は出さないほうがいいわ』

このことだったのかと、ヴェルディは思った。その後、ヴェルディを援護した多くのトルーパーが、サートブレクたった一機によって屠り去られた。
そのときだった。

「むっ!」

どこからかサートブレクに砲撃が放たれた。

「上空からか!?」

ヒムナスはサートブレクのカメラを上空に向けると、飛翔した一気の白銀のトルーパーの姿があった。そして地面に着地する。

「大丈夫ですか姫様!?」
「ティア、お前か…」

そのトルーパーのパイロットはティア。ヴェルディの無事を確認した後、ティアはサートブレクに目を向ける。

「わたしは神聖ヴァルファーレ帝国の騎士ヒムナス・ターライナー。機体名はサートブレク。名を名乗られよ」
「アルバーノ王国国立シュロス学園技術科1年1組ティアフル・ルンヴェルグ。機体名はヴィルヘルミナです」
「ルンヴェルグ…!?まさかあのお方の息子か!?」
「あのお方?」

ティアの姓名を聞いてヒムナスは驚愕した。

「まあいい、全力で任務を遂行する。あのお方の息子なら相手にとって不足なし!容赦はせんぞ!」

サートブレクは巨大なビームサーベルを二刀流に構えて立ち向かった。

「どんなに高出力の兵器でも、当たらなければ意味がありませんよ!」

サートブレクのビームサーベル攻撃を後方に下がるという形でかわすヴィルヘルミナ。すると地面に電磁ライフルのルヴァーストを放った。

「なに!?」

この反動で体勢が崩れるサートブレク。一瞬の隙をティアは見逃さなかった。

「てえい!!」

ガルヴァブレイドを手に持って、サートブレクに振るった瞬間、サートブレクの右腕が切断された。

「バカな!?」
「さらに!!」

ヒムナスが驚愕した瞬間、もう左手を切断。サートブレクは両腕を失った。これで大型ビームサーベルが使えない。直後、ヴィルヘルミナは飛翔してルヴァーストを構えた瞬間、サートブレクに向けて何度も連射し始めた。ルヴァーストの弾丸がサートブレクに直撃。

「この俺が負けるとは…!さすがルンヴェルグ卿のご子息…!見事だ…!」

この攻撃を受けたサートブレクは爆散。ヒムナスは戦死した。
ヴィルヘルミアが地面に着地。ティアはヴィルヘルミアのコックピットから降りて地面に立つと、シュロス学園中から歓声が沸いた。英雄の誕生である。

「……………」

この光景を目の当たりにしたヴェルディはむなしい表情となった。スペックが劣るとはいえ、味方の援護を得ながらもここまで奮闘することができなかった。しかし、あのヴィルヘルミナがあれば、自分は無敵であるとヴェルディは考えていたとか…。

「わたしが出るまでもなかったか…」

校舎の物陰にディアナがいた。もし、ティアが敗れそうになったら自分が出てくるつもりでいたが、その必要はなかった。

 

その後、この出来事がヴァーミリアン宮殿に伝わった。女王執務室…。その一室に女王ラミヴェルがいる。そのラミヴェルに報告しているのが女王騎士の女性。

「シュロス学園がヴァルファーレの攻撃を受けたですって!?」

この知らせを受けてラミヴェルが驚いた。

「相手はビームサーベルという光学兵器を使って、我が国自慢のシュピゲールを圧倒。ヴェルディ姫様も負傷されて、現在は医療施設に入院中とのことです。しかし、シュロス学園技術科1年1組ティアフル・ルンヴェルグが、自らが開発した新型機ヴィルヘルミナを駆ってこれを撃破。学生に負傷者が多数出たものの死者をゼロであることが不幸中の幸い。それともうひとつ、ヴァロビニア島にいたヴァルファーレ軍ですが、すべて撤退したとのことです」

淡々と報告する女王騎士の女性である。

「そうですか…。とりあえず、我が国への脅威は去ったということですね。しかし、ヴァルファーレのトルーパーを倒したヴィルヘルミナですか…」
「報告によれば、ヴァルファーレのトルーパーはキャバリーと呼ばれています。規格が違いますので、名称が異なっても不思議ではないと思いますが」

ラミヴェルは安堵する。ヴァルファーレが去ってくれたおかげである。

「現在、国立アルバーノ研究機関がキャバリーの残骸を調査すべく、シュロス学園に派遣されるそうです」
「わかりました。わたしも参りましょう」
「女王様自らですか!?」
「ええ。ヴェルディの見舞いもあるし、わたしの護衛役を頼みましたよユイ」
「わかりました。カイヴァル公にもお声をかけますか?」
「よろしくお願いします」

ラミヴェル自らがシュロス学園に行くと決定した。彼女の護衛を務めるのは、女王騎士の女性ユイ。そして、カイヴァル公も伴って、専用の飛空船に乗ってシュロス学園に向かっていった。

 

夕方…。国立アルバーノ研究機関の研究員がシュロス学園に到着して、さっそくヴァルファーレのサートブレクの残骸を調べ始めた。

「報告によれば光学兵器を使ったとか…」
「これがビームサーベルの共振器…」
「噂には聞いていたが、ヴァルファーレがここまで行っているとは…」
「これを手に入れただけでも大きなメリットだ…」

とくに注目したのが、サートブレクの大型ビームサーベルの共振器。柄になる部分である。計2つを手にしただけでも大きかったと研究員は話す。

 

一方、学園都市シュロスの病院の一室にヴェルディが入院して、ベッドのうえで横になっている。現在、女王ラミヴェルとカイヴァル公が見舞いにきている。護衛を務めている女王騎士の女性ユイは入口前に待機。

「わたしは今まで自惚れていたかもしれません。今まで敵なしだと思っていたのに、目の前の相手に手も足も出せず、悔しい思いでいっぱいです…」
「ヴェルディ…」

ヴェルディを心配そうに見つめるラミヴェルである。

「姫様!女王様もこちらにおられたのですね!」
「「ケネス?」」

ケネスが入室してきた。しかし、ケネスはボロボロ状態で体中に包帯を巻いている。

「まさか、ヴァルファーレの攻撃を受けたのか?」
「はい…」

ケネスは今まで陣頭に立って、ヴァロビニア島にいたヴァルファーレの監視を行っていたと2人に説明する。その途中、ヴァルファーレに発見されてしまい、応戦するも、ヴァルファーレのたった一機のトルーパーによって部隊が壊滅したとのことである。

「そのトルーパーは遠隔操作する光学兵器を使用し、四方八方の攻撃を仕掛けてきました。この攻撃を受けた我が軍は対応できず、数分も経たぬうちに壊滅しました…」

遠隔操作する光学兵器を使用するトルーパー…。それを聞いて3人は驚きを隠せなかった。

「そうだ!シュロス学園もヴァルファーレの攻撃を受けたと聞きましたが、どうなったのでしょうか!?わたしもこちらにきたばかりで、まだ状況を理解できていません!」

ケネスは聞いた。それについてヴェルディは説明する。

「サートブレクというトルーパー一機に我が軍自慢のシュピゲールが十数機も倒された。わたしもやられる寸前だったのだが、ティアがサートブレクを撃破して、この程度で済んだ」

ヴェルディの説明を聞いて、ケネスは安堵する。

「ヴァルファーレは自国のトルーパーをキャバリーと呼んでいるそうだ」

と、ヴェルディは付け加える。

「姫様」

ユイが入室してきた。

「ティアフル・ルンヴェルグというかわいい学生が面会を申し込んでいます♪」
「通せ。というかユイ、なぜ嬉しそうな顔をしているのだ?」
「だって、あんなかわいい子はいないんですもの…」
「とにかく通せ。ティアには絶対に手を出すな」
「は~い♪」

と、ユイが退出すると、入れ替わるようにティアが現れた。手には花束を持っている。ヴェルディのお見舞いが目的である。

「ティアフル君。こちらは女王ラミヴェル様と、カイヴァル公爵サリア様である」

ケネスはティアに2人を紹介する。

「初めまして、シュロス学園技術科1年1組ティアフル・ルンヴェルグと申します。お見知りおきを」
「「ズキューン!!」」

自己紹介するティアに、ラミヴェルとカイヴァル公は自身の心になにかが射抜かれた。

「かわいい子…」
「なんというかわいさ…」

ラミヴェルとカイヴァル公の感想である。感激した表情になっている。

「母上、サリア、手を出さないほうがいいですよ」

ヴェルディは忠告するが…。

「手は出しませんよ」
「そうですよ」
「「ふふふ…」」

あからさまにやましいことを考えている女王様と若い公爵閣下である。

「息子に手を出したら未来はないわよ…」
「ディアナ殿!?」
「お母さん!?」

そのとき、ティアの母親ディアナが現れた。花束を持っていることから、ヴェルディのお見舞いにきたようである。
ティアはみんなにディアナを紹介し、みんなはディアナに自己紹介する。

「いやはや、まさか母君がこのような美しい方だったとは…」

しかもケネス、デレデレである。

「ティア君とわたしの娘をお見合いさせてはどうでしょうか?」
「わたしの妹はどうでしょうか?」
「「……………」」

ティアがほしいラミヴェルとカイヴァル公は媚びを売るような感じでディアナに話す。直後、2人は互いと睨んだとか…。

「息子は渡さないわよ」
「「「……………」」」

ディアナは即答で拒否。

「さてヴェルディ!ケガが治ったらヴァロビニア島の遺跡を探索するわよ!」
「「「遺跡!!?」」」

しかもディアナ、ヴェルディを遺跡探索に誘う。遺跡という言葉にラミヴェルとカイヴァル公とケネスは驚きの声をあげるが…。

「遺跡探索ですと!ならばわたしも行きます!遺跡探索は男のロマンですから!」
「僕も行きますよ!これ以上の男のロマンはありませんから!」

ケネスとティアは目を輝かせたような表情になっていたとか…。

「そういえば遺跡があるとかなんとかとティアは言っていたな…」

と、ヴェルディは数日前のことを思い浮かべる。

「女王様…なんかとんでもないことになっていますが…」
「我が国の利益になるのならむしろ積極的にやるべきです」

と、カイヴァル公とラミヴェルは相談するが、ラミヴェルは好意的である。

「決まりね。それと、これは他言無用でお願いね♪」
「わかりました。しかし、ヴァロビニア島からヴァルファーレがいなくなったとはいえ、それは確かな情報なのでしょうか?」

ラミヴェルは聞いた。

「いなくなったわ。ヴァルファーレにいる友達が話してくれたもの」
「「「えぇ!?」」」

ヴァルファーレにいる友達という言葉に、ティアを含むみんなは驚きの声をあげた。

「その根拠は?」

カイヴァル公は聞いた。

「遺跡の扉が開いたのはいいんだけど、ヴァルファーレになにか問題あったらしいのよ。それに、あれだけの超科学力を持つヴァルファーレにとって遺跡探索の価値は皆無に等しいしね」

と、詳しく説明するディアナである。しかし、これ以上は聞かないことにするが、謎である。

 

フェディス歴1874年7月25日。学園都市シュロスの飛空戦着陸場から1隻の飛空船が飛び立った。搭乗しているのは、ティア、ディアナ、ラミヴェル、ヴェルディ、ケネス、カイヴァル公、女王騎士の女性ユイの7人。ヴェルディは軽傷だったので1日で退院できたが、ケネスはまだ戦える状態ではない。それどころか、よく見かける探検家の格好になっていた。その格好にみんなは引いていたが、ティアは感動した表情になる。
飛空船のトルーパー格納庫には、ティア専用機ヴィルヘルミナがあるが、シュピゲールが5機搭載されている。エディナとカーグとコーレルの機体で、3人はヴェルディの要請を受けて遺跡探索に参加している。もう1機はヴェルディの…。さらにもう1機はユイが搭乗する。整備担当はジョルズで、彼も搭乗している。
飛空船の向かう先は、アルバーノ王国の東に位置し、海に囲まれた無人島ヴァロビニア島。ヴァルファーレが調べていたのだが、そのヴァルファーレがいない。そして、飛空船はヴァロビニア島の広いエリアに着陸する。

「魔物の襲撃に備えて、数人はここで待機」

待機するのは、エディナとカーグとコーレルと女王騎士のユイの4人。

「わたし、待機しても大丈夫なのですか?」
「女王様とヴェルディ姫様はわたしが護衛する」

カイヴァル公は説明すると、ユイは納得した。
遺跡の中に入るのは、ティア、ディアナ、ラミヴェル、ヴェルディ、ケネス、カイヴァル公の6人のみ。

「こっちよ」

さらに彼女は遺跡まで案内する。歩いてわずか数分なのですぐに到着した。遺跡の中に入る。遺跡の扉がすでに開いてあったので、さらに奥に進む。
それから数分が経過。現在、広いエリアにいるのだが、6人は足を止めた。目の前には奥に進む通路がある。

「どうやらここまで探索していたようね。この先は…トラップか…」

ディアナは地面に落ちていた石を通路に投げると、どこからともかく石に目掛けてビームが放たれた。これにはびっくりのみんなである。

「しかし、ヴァルファーレほどの連中なら、この程度のトラップは解けないはずがないと思いますが」

ケネスは聞いた。

「わからないわ」

と、ディアナは推測する。

「だけど、遺跡が古代文明の遺産で、現在でも稼働していることは間違いないね。トラップがそれを証明してくれたわ」

ディアナのさらなる推測にみんなは同意する。
そして、みんなはそのエリアを探索し始める。直後、別のところに扉を発見。扉を開いて奥に進むと、特殊な装置を発見。具体的な形は、装飾が施された球体状の装置である。

「これは…他の遺跡に似たようなものがあったわ…」
「間違いありません。各国はこの装置の謎を解明するのに躍起になっているはずです」

カイヴァル公とケネスは説明する。ラミヴェルとヴェルディも心当たりがある。

「エターナルフォーチュンね」
「「「!!?」」」

この装置をエターナルフォーチュンと呼んだディアナにみんなは驚きを隠せなかった。

「ご存知なのですか?」

ラミヴェルは聞いた。

「無限稼働機関エターナルフォーチュン。出力はヴァルファーレが保有する大型戦艦の動力機関として使われるほどよ」
「「「無限稼働機関…!?」」」

無限稼働機関というディアナの言葉に、みんなは驚く。無限稼働機関とは文字通りエネルギーが半永久的に途切れることがない機関である。ヴァルファーレは何らかの形で量産に成功して、大型戦艦の動力機関として採用されることになったという。

「エターナルフォーチュンを起動するには特殊な方法が必要なの」
「その特殊な方法とは?」

ラミヴェルは聞いた。

「遺伝子に刻印された起動キー。起動キーを刻印された遺伝子の持ち主は、この装置に触れるだけでエターナルフォーチュンを起動することができるの。無制限にね。また、本人の意思でエターナルフォーチュンを停止させることができるし、親族などその人の血を引く人であれば、無条件でエターナルフォーチュンを起動させることができるのよ。ただし、ここで注意。起動者が命を落とすと、同時にエターナルフォーチュンが停止するの。古代文明は何らかの形でエターナルフォーチュンを普遍化して、誰でも起動できたとされているけど、現時点での起動方法は、先ほど説明したとおりよ」

詳しい説明をするディアナである。

「ティア、触れてみて」
「え?」
「いいからいいから♪」

ディアナに言われるがまま、ティアはエターナルフォーチュンに触れると次の瞬間、球体状の装置から突然、発行し始めた。同時に機械の起動音も響いてきた。エターナルフォーチュンが起動したということである。

「ティアはわからないけど、わたしの遺伝子に起動キーが刻印されているの。わたしは起動者でもあり、わたしの血を引くティアも起動者だということよ」

ディアナは自分達の秘密を明らかにする。

「だけど変ね。どうして引き返したのかしら?ヴァルファーレ本国になにかあったの?」

と、考えるディアナである。

「まあいろいろとね」

女性の声が響いた。声がした方向をみると、槍を携える一人の美女がいた。赤い髪のツインテールをしている。

「あらクレインじゃない」
「数日前にあたしと戦ったっていうのに、またこんなところに来て…」
「悪い?」

どうやら知り合いである。

「あんたがエターナルフォーチュン新規認証システムを使って自分の遺伝子に起動キーを刻印するから、あたし達はあんたの命を奪わなければならなくなったのよ」
「竜王ザヴォルグを従えているのに、ゴースト系モンスターが出てくると戦えないくせに…。よくウラノスに選ばれたわね」
「はん!あんたと出来が違うのよ!元『同僚』だからといって容赦しないわ!」
「その前にひとつ聞くけど…。クレイン、どうしてここで引き返したの?」
「皇族の一部が内乱を起こしたからよ」
「なるほど。だから急に引き返したのね…。そこまでは知らなかったわ」
「ディアナ、あんたそろそろヴァルファーレに戻ったら?というかメルディル女帝陛下は新規認証システムを使われたくらいで命を狙うほど器は小さくはないと思うけど、なにやらかしたの?」
「別になにもしてないわよ。それに、新規認証システムはメルディル女帝陛下の許可をもらって使ったし…」
「それホントなの!?」
「だけど、事実を知った他の皇族達が起動キーを持つわたしの命を狙い始めてね。気づいたら数百人の騎士をぶった切って、ウラノスの2人を始末して、結局はアルバーノ王国に亡命せざるを得なかったのよ。うざくてね…。アルバーノにいても命を狙われたし…2年も前になるわね…」
「なるほど…」
「あんたもやるの?」
「当然!ここで始末しなきゃ、あたしが幽霊嫌いであることを知られてしまうからね!」
「別にそれいいんじゃない。みんな知ってるし」
「うがーーー!!!」

敵同士であるのだが、仲は良好である。

「え?ティア、お前ヴァルファーレ人だったのか?」
「わかりませんけど、僕も初めて知りました」

ヴェルディはティアに聞くも、ティア自身はまったく知らなかったようだ。

「すまぬディアナ殿、わたしはこの女に尋ねたいことがある」

ケネスが割って入ってきた。

「光学兵器を遠隔操作する機体のパイロットはおぬしなのか?」

ケネスは思い出した。自分の部隊がヴァルファーレによって壊滅されたことに…。

「もしかして、ファルナスタのこと?」
「ファルナスタ?」
「あたしの専用機アルティマブレイブのファルナスタ。なるほど、もしかしてあたし達を監視していたアルバーノの部隊って、あんたのことなの?」
「いかにも!その前にもうひとつ、サートブレクをシュロス学園に襲撃させたのは…?」
「サートブレク?ああ、あたしの指示でね。アルバーノの力をみたくて襲わせたのよ。まさか撃破されるとは思わなかったわ」

ヴァルファーレによるシュロス学園攻撃の黒幕は、クレインであった。

「そうか貴様か…。今ここで貴様の首をとる!」

ヴェルディは剣を構えてクレインに立ち向かった。そしてクレインは槍を構えた瞬間、ヴェルディの剣が空に舞い上がった。

「おらー!」

さらに槍を振るって、ヴェルディを後方にふっ飛ばす。

「強い…!」

カイヴァル公は口に出すと、携えていた剣を抜いて構える。

「みなさん!協力してあの人を倒しましょう!」

ティアは携帯している太刀を抜くと…。

「ズキューン!!」

クレインはティアの表情をみて、自身の心になにかが射抜かれた。

「かわいいーー♪♪」

そして魅了された。

「決めた!この子を拉致って、ベッドの上でにゃんにゃんする♪」

しかもやばい方向に行ってしまった。

「人の息子になにやましいことを考えてるの!!」
「え?息子?」

ティアがディアナの息子だと知ったクレインは激怒した。

「時空魔法!テレポートブラスト!!」
「なんでーー!!?」

そしてディアナはクレインに向けて、時空魔法テレポートブラストを発動。殺傷能力はないのだが、喰らった対象は半径10km辺りの場所に飛ばされるという。まともに喰らったクレインは別の場所に向けて、強制的に空間転移されたという。

「ふぅ」

と、ディアナはやれやれとした表情になる。

「さて、わたしの正体が知られちゃったようね」

と、みんなのほうに顔を向ける。

「ディアナ殿、あなたはヴァルファーレの人間なのですか?」

ヴェルディは聞いた。

「宝石商兼傭兵なのは本当だけど、これでもヴァルファーレ人なの。そしてわたしは、神聖ヴァルファーレ帝国皇帝直属にして最強12騎士団「ウラノス」の一人。ヴァルファーレ帝国軍防衛長官で階級は元帥。全部元がつくけどね。ティアに自分のことを話さなかったのは、ヴァルファーレに命を狙われないためなのよ」

ディアナは自分の正体を明かす。ティアでさえ知らない事実である。

「防衛長官って軍のトップではありませんか!?では、クレインという女は…」
「わたしと同じウラノスよ。わたしがいなきゃ全員死んでたし、それにあの女はわたしのかわいいかわいいティアきゅんにやましいことを考えるし…」
「「「……………」」」

と、ティアに抱きついて、ティアのほっぺに何度もチュッチュするディアナである。息子に対してかなり溺愛している。

「しかし、なぜ我々に協力的なのでしょうか?」

一国の元首であるラミヴェルは聞いた。

「なぜってそりゃ……遺跡探索は女のロマンではなくて?」
「「「はい?」」」

珍妙な回答するディアナであるが…。

「おお!同士がここにいるとは思いませんでしたぞ!」
「さすが僕のお母さん!」

男のロマンにうるさいケネスとティアに感動される。
その後、装置を操作してトラップを解除。遺跡のさらに奥に進む。それから時間が経過。エリアにたどり着いた。目の前にはコンソールが並べられている。ディアナはコンソールを起動して、キーボードを打って操作する。

「なるほど…ここで行き止まりってわけね…。さらに奥に行くには、一回外に出て別の入口に入らなければならないってことかしら?」
「じゃあ、この入口は外れ?」
「外れじゃないわ。このエリアのどこかに鍵があるそうよ」

ディアナの説明を受けたみんなはさっそく鍵を探し始める。直後…。

「これではないでしょうか?」

ケネスは鍵を見つけた。それをディアナに渡して、本物かどうかと照らし合わせる。

「そのようね」

さらにコンソールを操作して地図を出す。

「入口は……ここね。すぐ近くじゃん。一回外に出ましょうか?」

鍵を手に入れ、入口を把握したみんなは一度外に出る。クレインが現れたから、外のみんなに被害が及んだのかと考えると、そうでもないようだ。それどころか、クレインがここにきたことを誰も知らない。
気がついたら夕方になった。それでもまだ探索は続ける。

「ここね」

さっそく見つけた扉。茂みと森などに隠れていたために見つからなかった。とはいえ、高さ30m以上ある巨大な扉であった。しかし、鍵穴らしきものが見つからなかった。探すと、すぐ横の壁に鍵穴を見つけた。ディアナは遺跡内で見つけた鍵を鍵穴に差し込んで捻ると…。

「あれ?」

なにも起きなかった。

「電力が来てないのでは?」

ラミヴェルの言葉がきっかけで、みんなは周辺を探索し始めた。しかし、すぐに発見できた。扉から少し離れたところに入口がある。扉もあるが誰でも開く。その入口に入って、奥に進むと、地下動力室らしきエリアに出た。その中央に、巨大なエターナルフォーチュンがあった。ティアはそれに触れると、エターナルフォーチュンが起動。眩い光を放ち始めたと同時に機械の動作音が響いてきた。
巨大な扉のところに戻って、ディアナは再び扉の横にある鍵穴に鍵を差し込んで捻ると、その巨大な扉がゆっくりと開いた。入口に入ると、内部は船内のような内装だった。

「「おおおおおーーー!!!」」

さっそくティアとケネスは目を輝かせて興奮して奥へと走っていった。そんな2人を見たみんなは呆然としていたとか…。
内部は非常に綺麗である。数多くの部屋があり、設備も完備されている。各部屋に広い浴室と水洗トイレとベッドなど最低限のものが備わっている。ティアは浴室と水洗トイレが使えるかどうかを確かめると、普通に稼働している。浴室の蛇口から暖かいお湯がある。多少汚い部分もあるが、たわしなどで綺麗にすれば普通に使える。魔物もいないので、今日はここで一夜を過ごすとみんなは決めた。
さらにさらに奥に進むと、最上階である管制エリアに到達。内部は巨大な艦橋そのもの。無数のコンソールが並べられていた。ディアナは席に着いてコンソールを起動し操作し始める。

「このエリア!?」

ディアナは席を立ち、急いである場所に向かった。みんなはディアナの後を追いかけていく。そして、あるエリアに到着。そのエリアを見て、みんなは驚愕を隠せなかった。なぜならこのエリアは、格納庫。驚くべきなのは、格納庫にある巨大な戦艦の数。見た感じだと、ざっと数百隻に上る。ディアナは傍にあったコンソールを操作し、格納庫のデータを検索。

「宇宙戦艦が2千隻近くも格納されている。全長1kmの宇宙母艦129隻。全長480mの宇宙巡洋艦1787隻。全長800mの宇宙輸送艦367隻。動力源はすべてエターナルフォーチュン…。さらにエターナルフォーチュンを搭載した人型機動兵器も数百機ある。このヴァロビニア島の正体は…天空に浮かぶ巨大な宇宙軍事要塞…。直径約80km…。古代文明の遺産のひとつ…。起動すればヴァロビニア島が浮上し、宇宙に進出することができる。搭載されている武装は要塞主砲ガルガンディア。異次元転移バリアシステムで強固なバリアを展開して攻撃を防ぐ。簡単にいえば、この軍事要塞だけで大陸を全土支配することができるということよ」

ディアナの説明にみんなは恐怖を感じた。もし、これがヴァルファーレの手に渡ってしまえばどうなるか…。悪しき者が渡ってしまえばどうなるか…。思わず悪い方向に行ってしまう。
その他のデータを検索して、構造についてわかったことがある。2万隻の艦船が収容可能の巨大空港。400隻を同時に建造と修復が可能な整備ドック。様々な兵器が生産可能な兵器工場。居住区画の巨大都市と医療施設。あらゆる機能が備わっている。

「みなさん……この話…見なかったことにしませんか…?」

ラミヴェルは真剣な表情でみんなに提案する。

「人々の生活を豊かにするために、我々は古代文明の謎を解こうと必死でした。しかし、これをみたらと思うと、怖ろしくてなりません。アルバーノ王国の中に悪の心を持つ人達がいるでしょう。悪用されないためにも、封印しましょう」

説明を受けたみんなもラミヴェルと同じ考えである。

「鍵はわたしが預かっておくわ」

ディアナは持っていた鍵を空間転移させた。

「わたしの意思で鍵を呼ぶことができるからね。盗まれたらいやでしょう」

と、鍵を再び呼び出して手に取った。たしかに、これなら盗まれる心配はない。

 

その後、みんなは遺跡の外に出た。ディアナは鍵で巨大な扉を閉じて、その鍵を異次元空間に格納する。同時に起動していたエターナルフォーチュンを起動者であるティアは停止する。
遺跡内に一夜を過ごすと決めたが、結局は飛空船に乗って、学園都市シュロスに直行するのであった。その後、ディアナを含むみんなは学園都市シュロスの高級ホテルに宿泊。ティア達学生はそのままシュロス学園の学生寮に戻ったという。

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