02 性格がきつそうな第1王女ヴェルディ!チートを発揮するティア!

フェディス歴1874年6月16日。シュロス学園対アルバーノ王侯貴族学園の機甲試合の開催日。アルバーノ王国学園都市シュロスにある国立シュロス学園の闘技場で、トルーパーを使った戦闘の試合が行われた。
シュロス学園の闘技場の観客席には多くの軍人達がいた。彼らの目的は、機甲試合に出場する学生達の力量を目の当たりにするためである。機甲試合は単なる試合ではなく、自分の将来が決まる試合でもあった。とくに貴族勢力であるアルバーノ学園は真剣であった。なぜなら、軍人達にアピールすることで、ある騎士団に配属されるかされないかによって決まる。その騎士団とは、アルバーノ王国女王ラミヴェル・ウィズ・ヴァージニア直属の女王騎士団。
女王騎士団はアルバーノ王国の中でも精鋭にして格式が一番高い騎士団。簡単にいえば超エリートである。女王騎士団に所属するだけでも最高の栄誉とされるが、全員が貴族出身の騎士である。平民が女王騎士になれないことはないが、アルバーノ王国は階級社会が厳しく、平民が女王騎士になれたとしても出世の可能性が薄く、貴族の場合だと実力に関係なく勤続年数だけで階段を上るように出世するという理不尽な部分がある。平民の場合だと出世の可能性が低いので、たとえオファーがあったとしても、出世の可能性が高く、ある程度の自由が許される地方のほうに行ってしまう。有能な平民の人材が地方のほうに行ってしまうという自体に問題だが、女王騎士団の上層部は問題にしていない。むしろ、貴族のほうが有能であるという思考が強くなっている。そのためなのか、地方の騎士団と女王騎士団の溝が深まっている。過去に地方の騎士団と女王騎士団が些細なことで大規模な戦闘を繰り広げて死傷者を出したという事件もあったとされる。
ちなみに女王騎士団の主な任務は、女王ラミヴェルを含むヴァージニア王家の守護、ヴァージニア王家が居住するヴァーミリアン宮殿の警護、首都ヴァーミリアンの防衛となる。
話を戻すが、アルバーノ学園の貴族にとって、女王騎士団の入団は目標でもある。そして気合が入っている。なぜなら、観客席の軍人の中に、女王騎士団の団長がいるからである。団長の名はヴェルディ・ウィズ・ヴァージニア。アルバーノ王国第1王女にして王太女。女王ラミヴェルの娘にあたる。ウェーブのかかったエメラルドグリーンのロングヘアー、絶世の美女と言わんばかりの豊満な肉付きと美貌をし、それにそぐわぬ目付きをしている。ちなみに年齢は22歳。グレイギスをカスタマイズした機体を専用機としている。彼女の目に止まれば、女王騎士団の入団は現実に等しくなるといわれている。

「しかし、なぜわたしが学生の機甲試合を見に行かなければならないのだ?」

ヴェルディは愚痴をこぼす。

「そういうスケジュールですので…」

傍にいる女性の女王騎士はそう話す。

「我ら女王騎士団にとって有望な平民の学生がいても、ほとんどが地方のほうに行くのだ。見てどうなる?」
「平民は自分の実力を知っているから地方を希望するのでは?」
「たわけが…。女王騎士になっても出世が見込めないと知っているから地方に行くのだ。そのシステムを貴族達が作ったことを忘れたか?だから過去に地方の騎士団が反乱を起こしたんだ」
「「「……………」」」

愚痴をこぼすヴェルディである。どうやら貴族と違う考えを持っているようだ。

 

そして、機甲試合が始まった。1試合目はチーム戦。シュロス学園機甲兵科6年にして生徒会長ケルディス・オングライト率いるシュロス学園6年チームと、アルバーノ王侯貴族学園機甲兵科6年にして生徒会長イルムガルド・フォン・ベルドナルスキー率いるアルバーノ学園6年が始まった。
アルバーノ学園は最新機種のグレイギス、シュロス学園は中古にして型落ちのグレイサ。応援に来ていたアルバーノ学園の貴族生徒達は、過去の例通りに勝つとシュロス学園を見下していた。たしかに、性能であればグレイサのほうが不利。
しかし、番狂わせが起きた。3分も経たないうちに、アルバーノ学園6年チームが圧倒的敗北した。この結果に観客席全員が驚きの声が見つからず沈黙した。

「どうだ!?」
「…型落ちの機体なのになぜこんな性能を……!?」

イルムガルドでさえ驚く始末である。
その後、機甲試合は進んだ。4年のチームとシングルス、5年のチームとシングルス、そして6年のチームとシングルス、結果はすべてシュロス学園側の勝利に終わった。

「なんで?」

エディナに敗れたオルリアは驚いていた。

「やったーー!!」
「おっしゃーー!!」

ティアとジョルズはこの結果に喜びを隠せず抱き合った。

「いや~スカッとしたぜ」
「ざまあみろってね」

ジュアスとエドナはすっきりした表情になる。
それから…。

「ぶはははは!グレイギスを置いていってもらうぜ!」
「忘れられないような平民生活を体験させてあげるわオルリア!」
「「うぅ~!!」」

見下して笑うケルディスとエディナ。それに悔しがるイルムガルドとオルリアであった。

「なんだその無様な姿はーー!!!」

そのとき、観客席にいたヴェルディは怒鳴り声をあげた。この怒鳴り声に観客席の人達は沈黙した。

「アルバーノ王侯貴族学園の生徒よ!なぜ型落ちの機体に遅れをとるのか!?恥を知れ!!」

アルバーノ学園に対して怒りを露わにしているようだ。この怒りに、アルバーノ学園の出場選手は落ちこんだ。

 

その後、ヴェルディ率いる女王騎士はシュロス学園が使っていたグレイサを調べ始めた。不正があるかどうかについてである。このとき、ティア達シュロス学園の生徒達(関係者限定)が集まっている。とはいえ、相手の機体ならまだしも、自陣の機体に不正しようがない。性能を一時的にあげているのかと思ったが、むしろありえない。そんな機能があるなら、アルバーノ王国にでもほしいくらいだ。
それから、ヴェルディはシュロスのグレイサに乗って操縦し始めた。そしてわかったことがある。グレイサの性能がグレイギスより2~3倍くらいあると…。

「グレイサの性能はこんなものではない。性能が向上して改良されておる。改良したのは誰だ?」

ヴェルディは聞いた。

「あっ、僕です」

ティアが名乗り出た。

「おい小娘、冗談は嫌いだぞわたしは?」
「僕は男です!」
「なに?」

しかも、女の子と間違えられた。するとヴェルディは突然、ティアの股間を触り始めた。

「な、なにするんですか!?」

と、ティアはヴェルディから距離を取った。

「ああいや、本当に男かと思ってな…。うむっ、ちゃんとあるようだ。しかも大きい」

ティアの股間に触ったのは、本当に男なのかと確かめるためのようだ。

「もう…」

と、ティアは泣きそうな表情になると…。

「ズキューン!!」

その表情をみたヴェルディの心に何かが射抜かれた。

「まさか…」
「あの姫様が…」
「「恋敵の予感…!」」

エドナとエディナはヴェルディの様子を目の当たりにして危機感を覚えたとか…。

「まあよい。そなた、名前は?」

ヴェルディは仕切り直した。

「シュロス学園技術科1年1組ティアフル・ルンヴェルグと申します」

ティアは名乗った。

「ティアフルと呼びづらいので、ティアと呼ばせてもらおう」
「ええ…まあ…」

ティアとコミュニケーションを取るヴェルディであった。

 

それからトルーパーの格納庫に移動。ティアはグレイサをどのように改良したのかをヴェルディに説明する。

「なるほど…。エルクリックエンジンのリミッターを解除しながら内包された魔力を制御するシステムを開発したというのだな?」
「はい。ついでにエルクリックエンジンのもろい部分に手を加えました」
「では、我がグレイギスを改良してもらいたいな」
「う~ん…」

ヴェルディは要望するもティアは悩む。

「なぜ悩む?」
「改良より新型を開発したほうが早いと思いまして…」
「それは一理あるな」

ティアは新型の開発をヴェルディに提案するが、ヴェルディはその提案を同意する。

「それで、どのような新型機を開発するのだ?」

ヴェルディは聞いてみた。そのとき、ティアの目つきが変わった。

「はい。改良されたエルクリックエンジンを二つ搭載してツインドライブシステムを構築。さらに飛行機能を搭載。ビームライフルとビームサーベルという光学兵器を装備して、さらに遠隔操作できる光学兵器を搭載。高機動殲滅型戦闘用のトルーパーの開発を目指すのです!」
「「「ぶっ飛び過ぎ!!?」」」

目を輝かせながら目標を語るティアにヴェルディや女王騎士を含むみんなはツッコミを入れた。

「…もう少しスマートにできないか?」

ヴェルディは引いたような表情になってティアを提案。

「そうですね…。グレイギスをモデルにして武装面も強化。出力が高くなった分、燃費も悪くなったのでアルケミバッテリーの改良も必要ですね」
「それでよい」

この提案にヴェルディは了承。

「ヴェルディ王女殿下!」

一人の女王騎士が現れたが、なにか慌てている様子。

「どうした?」
「ヒクルム地方の守護騎士団が反乱を起こしました!」
「なんだと?」

この知らせを聞いたみんなは動揺する。

「ヒクルム地方はこの学園都市の隣りではないか?」
「はい。守護騎士団の軍勢がこちらに向かっています!」
「すぐに対応せよ」
「はっ!!」

指示を受けた女王騎士は現場に向かった。

「というわけだ。お前達も協力してもらうぞ」
「「「はっ!」」」

ヴェルディは学生達に協力を求め、学生達はこれに応じる。
ティアは改良されたグレイサのコックピットにさっそく乗り込むが…。

「ちょっと待てティア、なぜ技術科のお前がコックピットに?まさか前線に出ると言わんだろうな」
「はい、出ますよ」

ヴェルディに呼び止められる。

「ティアは技術科1年でありながら、その腕前は機甲兵科のトップクラスなんですよ」
「ほう…」

ジョルズの説明にヴェルディは関心を持つ。
それから、学生達はグレイサ(一部改良したものも含む)に乗り込んで、戦場となる場所へと向かっていった。

 

それから学園都市シュロスの東門前…。学園都市シュロスに駐留する都市騎士団と女王騎士団のトルーパーが陣を張って、進軍してくるであろうヒクルム地方の守護騎士団の軍勢を待ち構えていた。
そのとき、数十機のグレイサとグレイギスが現れた。ヒグルム地方の守護騎士団の軍勢である。その軍勢から声が響いた。

「ヒグルム地方守護騎士団長にしてカフスレフ子爵家当主クデール・フォン・カフスレフである!女王騎士団に所属していたわたしをこの地に追いやったアルバーノ王国第1王女ヴェルディ・ウィズ・ヴァージニアがここにいると聞き、王女の首をもらいにきた!」

隊長機と思われしグレイギスからの音声である。

「逆恨みしか聞こえないんですけど…」

ティアはそう口にするが…。

「逆恨みだと!?これは復讐だ!!」

クデールの耳に届いたようである。グレイギスに搭載されている集音機能はばっちりである。

「えっとその…なにをやって追放されたのですか?」

と、ティアはとりあえず聞くと…。

「よくぞ聞いてくれた!」

聞いてくれたティアに感動するクデールである。

「女王騎士団に所属していたわたしは、国を守り、王家を守り、必死に働き続けた。しかし、ヴェルディ王女はわたしを裏切った!貴族がたかが平民の女に手を出しても罪にはならんのに、王女はそれを理由にわたしを逮捕し、あのクソ田舎に追いやられたのだ!」
「平民の女に手を出してって…具体的になにをなさったのですか?」
「決まっておろう!平民の女に夜伽の相手をしてもらおうとしたのだ!ところがその女は抵抗し、結局は無理矢理やることになったのだ!」
「最低ですね。ヴェルディ姫様がまともな人でよかった」
「なにがまともだ!平民が貴族に奉仕するのは当然のこと!平民は貴族にただ従っておればよいのだ!」
「わかりました。あなたの戯言は聞きたくありませんので、僕一人で相手をしますよ」
「一人でだと!?トルーパー数十機を相手に一人で戦えるのか!?」
「問題ありませんよ。母さんと比べたら……大したことありませんから!」
「え…?」

ティアが駆るグレイサが前に出た瞬間、クデールが駆るグレイギスが横に切断された。グレイサの両手にはソードがある。二刀流で戦う。さらに、グレイサの機動力を生かして、相手のグレイギスとグレイサをバッサバッサと切り倒す。

「ば…化け物め!!」

一騎のグレイギスがライフルを構えて銃弾を放つと、ティアは紙一重にかわす。ちなみに、後ろに流れた弾丸は後方の騎士団達がシールドでちゃんと守っている。そして、そのグレイギスを一刀両断。
それから数分後…。

「やれやれ…ギリギリってところかな?」

ティアはたった一人で、ヒグルム地方守護騎士団の軍勢を全滅させた。この操縦技術と強さにみんなは唖然としている。実はグレイサの魔力切れ一歩手前であった。
そしてティアは帰還する。

「すごいぞ坊主!!」

ジョルズはグレイサのコックピットから降りたティアの頭をガシガシと撫で始める。

「ティアくんすご~い♪」
「惚れ惚れしちゃう♪」

エドナとエディナはティアにさらにメロメロ。

「まさか…この女の子が我々の軍勢を…」

クデールが生きていた。実はティア、コックピットを避けて攻撃していたため、誰も殺していない。

「僕は男です!」

女の子に間違われたティアである。しかし、クデールの手には短い杖があった。

「そんなことはどうでもいい!死ね!ファイヤーストライク!!」
「そうはさせません!コキュートスバスター!!」

クデールは短い杖を振るって炎の魔法を放つも、ティアは懐から杖を持って、その杖を振るって氷の魔法を放った。前者は中級魔法に位置するが、後者は上級魔法に位置する。中級は上級に勝てないので、ファイヤーストライクがかき消され、クデールはコキュートスバスターを喰らって氷漬けになった。

「ま…まいった…そして…惚れた…!」
「気持ち悪いです!」

クデールの最後の言葉にティアはツッコミを入れたとか…。
その後、騎士団達は戦闘後の処理をし始める。

 

シュロス学園の会議室…。そこにはティアとヴェルディの2人のみとなった。

「それであの操縦技術、誰から教わったのだ?」
「はい。僕の母です」
「母はなにをしているのか?」
「宝石商と傭兵なんですが、他に収入源があるとか、いろいろなツテがあるとかなんとか…。実は謎なんです」
「謎って…自分の母親だぞ?」
「自分のこと、あまり話しませんから」
「操縦技術だけじゃなく、メカニックについても教わったのか?」
「いえ、独学です」
「独学って…そこまでできるもんなのか…」
「…………」
「話してみろ。誰にも漏らさん」

ヴェルディはそう約束する。ティアはそんなヴェルディを信頼するのであった。

「実は最近、変な夢をみるのです。夢に出てくる男の人は、宇宙で戦ったり、トルーパーより大きな人型機動兵器に乗って戦ったり、どんなメカでも開発したり…。エルクリックエンジンの改良はその男の人のやり方を参考にしたまでです」
「う~ん…普通は笑い飛ばすはずなのだが…あながち冗談ではないのかもしれんな」
「ジョルズ先生が言うには、僕の前世が科学者ではないかとか…」

ティアはそう打ち明ける。

「まあよい。犠牲者0で済んだそなたの功績は確かだ。なにか褒美を取らすぞ」
「褒美ですか?」
「そうだな…。女王騎士団の入団とかはどうだ??」
「いえ、結構です」

即答で拒否するティア。

「なぜだ?」
「自由にメカを開発したいからです」
「なるほど…。では、なにがほしいのだ?」
「トルーパーの新型機開発をこの学園でやらせてください。これが僕がほしい褒美です」
「それでよいのだな?」
「はい」
「ふっ…わかった…。女王様にはわたしから進言しよう」

ティアの素直さにヴェルディは笑みがこぼれた。

「ありがとうございます!」

と、ティアはお礼を述べる。

「ところでティア、お前が使ったコキュートスバスターは氷属性の上級魔法だ。一般だと修得するのに何年もかかるそうだ。母親から教わったのか?」
「はい。その他の魔法もいろいろと…」
「機会があれば是非ともお会いしたいな」

しかもヴェルディはティアの母親に興味を抱いた。

 

その後、機甲試合のスケジュールは終了。惨敗したアルバーノ王侯貴族学園はシュロス学園にグレイギスを譲渡する。そういう約束になっている。一方、エディナに惨敗したアルバーノ学園の生徒であるオルリアはシュロス学園に転入。しかし、エディナはその約束をなしにした。

「なぜです?わたくし、ティア君とイチャイチャできると思ってましたのに…」
「その不純な動機が理由なのよ」

オルリアは転入してティアとイチャイチャしようと思ったのだが、それをエディナに見抜かれて、結局は転入できなかったという。
ヴェルディはサンプルとして改良されたグレイサを1機、首都ヴァーミリアンに持ち帰ると決めた。ちゃんとした報告を行うためにはこれが必要である。そのことについてティアは了承。ヴェルディ達女王騎士は搭乗してきた飛空船にグレイサを積んで、そのまま種とに向かっていった。

 

それから3日後。フェディス歴1874年6月19日。シュロス学園のトルーパー格納庫。そこにはティアとジョルズの技術系3人がいる。彼らはトルーパー新型機の設計図を作成していた。ちなみに、開発の許可はまだ下りていない。

「耐久性は通常でも耐えられますし、関節部分のアクリナモーターも十分行けます。あとは武装面ですね」
「武装はどのように行く?」
「ソードには高周波振動機能を搭載して切断力を増幅させます。シールドとライフルは後回しです。あと、強奪の対策を考えて、認証システムを導入します」
「なるほど…」
「飛行機能も搭載したいのですが、現時点では不可能と考えて後回しにします。代わりに機動力を確保したいので、足の裏にスピナーをつけます。スピナーの名は…まあアクリナスピナーと名付けましょうか。スピナーさえあれば足を動かさなくても走行は可能で、通常より2~3倍の速度を確保することができます」
「できるのか?」
「夢に出てきたアシュケナーズ・ウィンブルドンさんという男が開発した技術ですのでなんとか…」
「素材は?」
「グレイギスの基本素材であれば十分可能です」

このとき、ティアの目は輝いている。
それから数十分経過。

「やばい設計図を完成させたな」
「ええ」

設計図は完成。しかし、凶悪さを感じる設計図である。

「邪魔するぞ」

そのとき、ヴェルディと警護役の数人の女王騎士が現れた。ヴェルディの出現にティアとジョルズは姿勢を正す。

「トルーパーの新型機開発の件について、女王様からのお許しが出た。今後、ここでのトルーパーの研究と開発はわたしの管轄下となる。依存はないな?」
「「ありません」」

トルーパーの開発と研究を許され、さらにヴェルディの管轄下となって、ティアとジョルズは安堵する。
それから間もなく、新型機の研究開発がスタート。途中がジュアスなど技術科の学生も参加する。グレイギスの基本パーツをそのまま流用するので、完成までには時間がかからない。
その他にエルクリックエンジンの強化、アルケミバッテリーの改良、高周波振動機能をソードに搭載などを行う。
作業は徹夜までかかった。

 

翌日、フェディス歴1874年6月20日。新型機が完成。名前をシュピゲールと名付けた。しかし、試作段階なので実用化までには至っていない。テストパイロットをするのはティアである。シュピゲールのコックピットに乗り、認証キーを差し込んで起動。アクリナスピナーの起動テスト、関節の動きをテスト、高出力でありながら燃費はグレイギス並に抑えることができた。高周波振動剣ガルヴァブレイドの起動と性能実験、結果はすべて成功する。

「とんでもない化け物を作り上げたな…」
「ええ…これを世に出していいもんか…」

ヴェルディとジョルズでさえ驚く始末である。
テスト終了したティアはシュピゲールから降りる。

「次はわたしだ」

ヴェルディはシュピゲールに搭乗して動きを確かめる。しかし…。

「なんだこのじゃじゃ馬は!?」

操縦が難しかった。アクリナスピナーで走行するシュピゲールだが途中で転んでしまった。これにはティアとジョルズも頭を抱える。
しかし、コツを掴んだのか、ヴェルディはティアが操縦した以上の動きをみせる。そして、戻ってきた。コックピットから降りたヴェルディはティアとジョルズの前に立つ。

「これだけははっきりした。訓練を積み重ねれば操縦できると…」

と、感想を述べる。

「はい。ヴェルディ姫様のおかげで、改善すべき点を見つけることができました。感謝します」
「ズキューン!!」

ティアは嬉しそうな表情でヴェルディに礼を述べると、この表情をみたヴェルディの心がなにかに射抜かれた。これで2回目である。

 

それから夜…学園都市シュロスのある宿屋…。その一室には一人に美女がいた。

「カルロ様、入ります」
「ええ」

美女の名はカルロ・クランチェ。入室した女性の名はイザルラ・ハーチェスト。カルロに匹敵する美女でもある。

「密偵からの報告によりますと、シュロス学園ではヴェルディ王女が主導して新型機の開発が行われているようです。完成した試作型をみますと、性能は従来のトルーパーより圧倒的に高いと考えられます」
「なるほど…。各国ではトルーパーの改良が停滞しているけど、その停滞をアルバーノ王国が打ち破ったのね。誰が開発したの?」

カルロは聞くが、イザルラは躊躇し始める。

「どうしたの?」
「開発者の写真はあるのですが…その…」
「見せてみなさい」
「…はい…」

イザルラはその写真をカルロに見せると…。

「ズキューン!!」

カルロの心がなにかに射抜かれた。写真に写っている人物は笑顔となっているティアである。イザルラもこの写真をみて心を射抜かれた様子。

「目標ができたわね。この子を拉致するわよ」
「機体でなく開発者を本国に連れて帰るんですか?それはいいアイデアですね」
「違うわ。この子をここに拉致して……行為をやるのよ」
「犯罪ですよ!?」
「密偵やってる時点で犯罪もくそもないでしょ!?」
「そりゃわたしも…この子とにゃんにゃんしたいですし…」
「そう!このままだと行き遅れになるわ!彼氏いない歴=年齢の処女で終わりたくないもの!これを機にわたし達の処女をこの子に捧げる!」
「はい♪」
「「ふふふ…」」

某国の密偵のようだが、その某国からの任務を後回しにしようとする2人であった。しかも2人、ティアに対してやましいことを考えながらよだれをたらして笑みを浮かべていたとか…。その某国の人選、誤ったのかもしれない。

 

翌日、フェディス歴1874年6月21日。シュロス学園のトルーパー格納庫。前日に行ったシュピゲールをさらに改良した。試乗するのはヴェルディ王女。そして終了。

「うむ。前より大分よくなっているな。これなら実戦に投入することができるだろう。あとは量産だな」

感想を述べるヴェルディである。ヴェルディのお墨付きを得たシュピゲール。開発者であるティアも誉れ高い。
このあと、シュピゲールの本格的な量産に入った。

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