14 ロシア軍襲来編 バルチック艦隊の脅威に立ち向かう人々!

現在の戦況…。昨日、トーキョーシティに出現したロシア軍は波導使いを中心に構成された義勇軍によって撃破された。しかし、再び現れた。しかも、無限稼働機関クリエイションドライブの設計図があると思われる研究所を襲撃。しかし、その設計図の入手は阻止された。とくにロシア軍はその設計図にこだわっている。
クリエイションドライブとは、半永久的なエネルギーを供給できるという無限稼働機関。そのエネルギーは強大で、宇宙戦艦やスペースコロニーなどの動力機関に採用されるほど。開発者は地球連邦の研究所で、現在は原子力発電所に取って代わるクリエイションエネルギー発電基地が次々と建設されている。クリエイションエネルギー発電基地とは、クリエイションエネルギーを電力に変換して供給する施設で、放射線という概念がないので安全。地球連邦軍基地が駐留して管理しているため、事故が起きてもテロが起きてもすぐに対応可能となっている。さらに、その発電基地を中継している発電所がいくつか存在しており、その発電所の管理は民間企業に委託している。
クリエイションドライブを分配されているのは、日本、アメリカ、カナダ、フランス、イギリス、イタリア、ドイツ。それ以外の国にも分配されているものの、実は中国とロシアなどには分配されていない。とくにロシアはエネルギーに関して深刻な問題を抱いている。地球連邦政府に訴えても、ロシアの実情を理由にクリエイションドライブが分配されないようになっているが、本当の理由は不明。さらにヴァイタリンスグループの影響。結果、ロシアが日本に攻め込んで今に至る。ヴァイタリンスグループにとってもメリットがある。ロケットグループそのものを武力制圧することで、莫大な資産を手にすることができるのである。その総帥はロシアのことをどう思っているかは不明である。

もうひとつ、モニカからカレンに連絡し、日本の左翼団体がロシアと密約を交わしていると報告した。これに激怒したカレンはトーキョーシティの防衛省と警察省に連絡。独自の権限を持って彼らを動かし、全国にいる左翼団体に属する者と政治家達を一斉に捕らえた。彼らはスパイ法が適用されないとの理由で釈放を求めるが、実は日本最大の法律があった。外患罪と呼ばれるものである。外患罪とは、海外で例えるなら国家反逆罪。これに問われた者は、ほとんどが死刑になるという。左翼団体の者と政治家達を一斉に捕らえるのに、この法律が適用された。一部、死刑にならなくても、上層組織の死刑は免れない。
さらに調べてみると、各省庁や大手企業にも影響が根付いていたという事実がある。もうひとつは、日本にあるクリエイションドライブの設計図が偽物であったことが判明した。地球連邦政府は日本にスパイ法と共謀罪がないと知りながらも、国家機密にあたるクリエイションドライブの設計図を提供した。しかし、偽物を提供した時点で信用していないことがわかったという。

 

 

現在、トキワシティのポケモンセンターは戦場状態である。具体的には、義勇軍としてロシア軍と戦ったポケモントレーナー達が負傷してポケモンセンターに運び込まれている。病院は満杯状態で、頼れるのはポケモンセンターのみ。幸い、トキワシティのポケモンセンターのジョーイさんは看護師免許を持っており、セキエイ高原のポケモンセンターのジョーイさん(医師免許持ち)を補佐しながら患者の対応に当たっている。人が足りないので、女性達(セレナやエルやカスミなども含む)はジョーイさん達の手伝いをしている。その女性の中にサトシとモニカの母親ハナコがいる。マサラタウンにまで影響が及ばなかったようだ。
モニカとヴェロニカ達アメリカ軍は、大きなホテルに司令部を設置してトキワシティを守護している。その大きなホテルに男性と女性と子供が多く集まっていた。ロシア軍に対抗するため、各地で組織された義勇軍のように、自分達も義勇軍を組織して義勇兵として参加することを望んでいたのである。その中に、ワタルやダイゴ、シロナやレッドなどチャンピオン達と四天王とジムリーダー達も含まれている。軍上層部であるモニカとヴェロニカはこれを容認。しかし、ポケモントレーナーでもない10歳未満の子供達が参加するのは容認しなかった。代わりに食料調達の任務に着かせた。その代わり、ジュンサーさんや義勇兵となった彼らが護衛することになっている。

「外国人に義勇軍を参加させるわけにはいかないわ。どうしてもというなら、安全な場所で補給活動して」

モニカの一言で、イッシュ地方とカロス地方など海外の人達は参加できなかった。日露戦争に関係ない第三の外国人を巻き込むわけにはいかなかったからである。
現在、大きなホテルの会議室には、モニカ、ヴェロニカ、オルハ、リル、レッド、ダイゴ、ワタル、シロナの計8人がいる。軍事会議である。

「ハナダシティ、シオンタウン、セキチクシティ、クチバシティ、そしてヤマブキシティ。この5つの街にバルチック艦隊の精鋭部隊が駐屯しているという情報よ。先日、日本国防軍と在日米軍が大規模な共同作戦を実施したが、失敗に終わった。なにせそれらの部隊を指揮しているのは、バルチック艦隊総司令官であるヴォルコフ・ザポロジスキー元帥。ソビエト連邦が崩壊しただけで済んだのは彼の手腕によるとされている。おまけに人望も高い。彼のためなら、ロシア軍は命を捧げる覚悟。現在のポケモンマスターであるヴァシリーサより、かなり強敵であると覚えといて」

問題はバルチック艦隊の対応であると、モニカは話す。

「だが、我々にとってもっとも恐るべきことを考えなければならない」

そのとき、ヴェロニカは重い口を開いた。

「その恐るべきこととは、なんでしょうか?」

ダイゴは聞いた。

「中国軍の介入」
「「「!!?」」」

ヴェロニカはそうつぶやいた。

「日本と中国は関係が良好とは言えない。やつらはホウエン地方を欲しがっている。その意味がわかるか?」

と、ヴェロニカは聞いた。

「中国海軍による太平洋進出…!」

ワタルはそう話すと…。

「そうだ」

ヴェロニカは肯定する。

「中国がホウエン地方を掌握すれば太平洋進出が容易となる。我々としても中国軍の動きを封じ込めておきたい。その名分のためにアメリカ本国からホウエン地方に軍隊が派遣される。とはいえ、中国軍が動く可能性は低いだろうな」

ヴェロニカはそう話すと…。

「どうしてそう言い切れるのですか?」

モニカは聞いた。

「中国はヴォルコフ、というよりバルチック艦隊の存在そのものを恐れている。そのまま介入すれば、ボコボコにされるということだ。いくら中国が物量で挑んでも、最悪な結果になるということだ」

ヴェロニカの解説にみんなは納得する。

「今の戦力を考えるとトキワシティで籠城するしかない。幸いにも食料や物資などもあるし、野生のポケモン達も我々に協力してくれる。だけど、長期戦は避けたい。1週間…1週間でバルチック艦隊を撃破するわよ。ポケモン達を使ってね…!」

モニカの言うことはただしかった。しかし、みんなは躊躇してしまう。ポケモンを戦争の道具に使うということ…。相手は過去の日露戦争で戦ったバルチック艦隊。当時の日本艦隊の司令官は、国民的英雄とされている東郷平八郎。しかし、東郷平八郎のような英雄は誰一人として現れなかった。

 

 

一方、ヤマブキシティの上空を飛行しているバルチック艦隊の旗艦・飛行巡洋艦のブリッジ…。

「東郷平八郎?」

リンマは口にする。

「当時の大日本帝国軍と満州軍の連合艦隊司令長官だ。わたしの祖父は当時のバルチック艦隊に所属する乗組員だった。日露戦争でバルチック艦隊が敗北して、祖父が捕虜になった。それでも、東郷は我々の人権を考慮し、我々をロシア帰国に尽力してくれたそうだ。敵としては憎むべき存在だが、人としては尊敬すべき存在だった。日本が堕落して以降、東郷のような者は現れることなくなった。カレン・フレイヤーだけが、唯一のまともな人間だったようだ」

ヴォルコフはカレンを評価する。

「日本の左翼団体の状況は?」

ヴォルコフは管制官に報告を求めた。

「左翼団体はカレン・フレイヤー旗下の国防軍および防衛省と警察省によってすでに壊滅。カレン・フレイヤーによってのようです」
「まあよい。あんな売国奴はいずれ消すさ。おそらく、トーキョーシティにあるクリエイションドライブの設計図も偽物だろう」
「どうしてわかるので?」
「地球連邦政府がスパイ法と共謀罪のない国に重要な機密情報を与えると思うか?」
「たしかにそうですね。わたしがもし、連邦政府の政治家だったら、絶対に与えませんね」
「そうじゃろう」

管制官に同意する司令官である。

「閣下、エイナルフォースに潜入していた密偵からの報告です。ロケット団との抗争に負けて全滅したとのことです」

別の管制官が話しかけた。

「ほう。さすがロケットグループの私設組織」

と、ヴォルコフは述べる。

「それともうひとつ、クリエイションエネルギー発電基地の制圧に成功したと、ついさっき報告があがりました」

別の管制官が報告し始める。

「設計図の存在は確認できませんでしたが、クリエイションドライブのサンプルを入手したとのことです」
「わかった。そのサンプルが本物の設計図じゃろう。制圧部隊をすべて撤収させるのだ」
「わかりました」

実はヴォルコフは事前にクリエイションエネルギー発電基地を部隊に攻撃させていた。トーキョーシティにあるクリエイションドライブの設計図が偽物であると判断したからである。
サンプルが手に入ったのなら、本物の設計図を手に入れたも同然。これでロシアのエネルギー問題の解決に大きな期待が見込める。

 

 

それから数時間が経過。トキワシティの大きなホテル…。

「なんですって!?クリエイションエネルギー発電基地が襲われた!?」

モニカ達のもとに、ロシア軍によるクリエイションエネルギー発電基地襲撃の報告が上がった。それを聞いたみんなは驚愕を隠せなかった。
目の前にアメリカ軍兵士がいて、彼からの報告による。

「まずいな。トーキョーシティにあるクリエイションドライブの設計図が偽物であるとヴォルコフは事前に見抜いていたようだ」

ヴェロニカは冷静である。

「襲撃したロシア軍部隊は何者か?隠密行動に優れているとみたが」
「はい。ロシア対外情報庁の工作部隊ですが、現在はバルチック艦隊の旗下にあります。しかし、情報によれば、彼らは異様な格好をしていたとのことです」
「その異様な格好とは?」
「日本の忍者が纏う黒装束の格好です」
「「「忍者!!?」」」

クリエイションエネルギー発電基地を襲撃したのは、ロシア対外情報庁の工作部隊であると判明したのはいいが、なぜか忍者の格好をしていたということに、みんなは驚いている。

「刀を持って、クナイや手裏剣を投げて、まきびしを巻いて、さらに自動小銃など…。明らかに忍者です」
「忍者は自動小銃以前に銃を使わないと思うが?」

と、兵士の報告を聞いてヴェロニカは呆れる。
実は各国の諜報機関の間では、日本の忍者が流行っている。ロシアの諜報機関は忍者の優れたところを吸収し尽くした結果、忍者そのものになっていたという。中には、忍者になりたいがためだけに諜報機関を目指したという人もいる。たしかに忍者の役目は隠密と工作と情報収集などであるが、間違った方向に行っている諜報機関も中にはいる。

 

 

それから数時間が経過。サトシは義勇軍の一員となって、トキワシティ周辺の見回りをしている。このとき、傍にレベッカがいて、レベッカもサトシと同じ義勇軍の一員である。さらに、ロトムとピカチュウも含まれる。現在、サトシとレベッカは双眼鏡を持って、ロシア軍の存在を探索しているところである。

『ニビシティに向かう道にロシア軍はいないロト。だけど、トキワの森にロシア軍の兵士が多数存在するロト。ゲリラ戦は危ないロト』
「波導使いの存在は?」
『ほとんどだロト』
「ゲリラ戦で波導使いは強いからな。現状を考えるとニビシティの解放は得策だが…」
『情報によれば、トキワの森とニビシティに駐留しているロシア軍はすべてバルチック艦隊の部隊だロト』
「またバルチック艦隊か…」

レベッカはため息する。

「引き返すぞ」
「はい」

レベッカとサトシはこの場を後にしてトキワシティに戻っていった。

 

 

トキワシティの大きなホテル。サトシとレベッカとロトムは現状をモニカに報告している。このとき、モニカの腕にサトシのピカチュウがいて可愛がっている。

『トキワの森にはロシア軍、しかも波導使いが潜んでいるロト。情報をまとめると、ここからタマムシシティに行けるけど、その先にバルチック艦隊の精鋭部隊が待ち構えているロト。どっちにしても籠城するのが得策だロト』
「それだけじゃなく、食糧など補給物資も無限じゃない。尽きるのも時間の問題。まず補給路を確保するのが重要ね」
『可能性があるのは、ニビシティを解放して、そこからハナダシティに向かう。だけどそれだと時間がかかり過ぎるロト』
「こっちも深刻よ。義勇軍が組織されたとはいえ、今でもここが最前線エリアでもあるの」

モニカは深刻な表情をして、みんなにこう述べた。

「ありがとう。あなた達はホテルの部屋で休んでいいわ。サトシの部屋よ」
「「はい」」

サトシとレベッカはこの場を後にする。

 

 

籠城して2日が経過した。
シンオウ地方…カレン率いるシンオウ地方の義勇軍と国防軍と在日米軍が大規模な共同作戦を実施し、シンオウ地方にいるロシア軍を撃退することに成功した。しかし、バルチック艦隊のヴォルコフはこの事態を想定し、事前に準備していた国境にいるロシア軍に進軍命令を下す。その兵力は約5万。数十機のキラードロイドと数百機の機動戦車とその他の最新兵器が次々と導入される。

「しつこいわね…!!」

カレンが愚痴をこぼすほどだった。

ホウエン地方…漁夫の利を得るために中国軍が動き出す。中国軍の目的はホウエン地方の制圧である。ヴェロニカの予想は外れたが、この事態も想定済み。すでに到着していたアメリカ軍と、ホウエン地方に駐留する国防軍が、侵攻してきた中国軍を撃破。潜水艦も何隻か出撃していたのだが、アメリカ軍が水中用人型機動兵器を用いてすべて撃沈する。同時にホウエン地方に展開するロシア軍を義勇軍が撃破する。
ジョウト地方…ジョウト地方で組織された義勇軍だが、警察と連携してロシア軍を撃破。トーホク地方とセトグニ地方も義勇軍を中心に次々とロシア軍を撃破していく。
カントー地方…カントー地方が一番の問題。しかし、彼らがすでに動いている。その彼らとは、バトルフロンティアのフロンティアブレーンである。フロンティアブレーンを中心とした義勇軍がニビシティを強襲して、占領していたロシア軍を撃破。バルチック艦隊の精鋭部隊だったので、かなりの時間を要した。それを知ったモニカ達はトキワの森にいるロシア軍を攻撃して壊滅するが、楽に勝てた。実はロシア軍、スピアーの大群に襲われていた。それが原因である。ロケットグループとロケット団も独自に開発した最新兵器を持って、カントー地方に展開するロシア軍を撃破して、いくつかの補給路を確保した。

 

 

翌日…。トキワシティにいるモニカとヴェロニカはタマムシシティに進軍計画を立てている。現在、タマムシシティ行きの道路は在日米軍が駐留し、タマムシシティを占領するロシア軍とにらみ合いの状態になっている。計画はこうだ。フロンティアブレーンを中心とした義勇軍がハナダシティ、こちらはタマムシシティを同時に強襲。しかし、ハナダシティとタマムシシティに駐留しているロシア軍はバルチック艦隊の部隊。かなりの時間を要する。カレンがいるシンオウ地方からの援軍も期待できないので、自分達でやるしかない。

 

 

そして2日経過。カントー地方の義勇軍たちはタマムシシティとハナダシティの攻略戦を開始。
翌日、ロケット団とトーキョーシティの義勇軍も参戦してシオンタウンとセキチクシティを攻略。そして、ヤマブキシティに進軍。モニカとヴェロニカは強力な波導を持って、バルチック艦隊の戦艦を次々と撃沈させる。残ったのは、旗艦となっている飛行巡洋艦。その巡洋艦はクチバシティに撤退。同時に攻撃を受けて地上に落下。巡洋艦から次々とロシア軍兵士が出てきて応戦する。しかし、かなりしぶとく、義勇軍にも多数の犠牲者が出てきた。
さらに翌日、戦争が始まって1週間が経過。クチバシティの戦闘は国防軍と在日米軍と義勇軍の勝利に終わった。気がついたら朝になった。墜落した飛行巡洋艦の周りに銃を構えた国防軍と在日米軍の兵士達がいる。そして、巡洋艦からヴォルコフとリンマと数十名のロシア軍兵士達が出てきた。彼らにはもう戦闘を続ける体力がない。
このとき、シンオウ地方にいたカレンも到着。ロシア軍の大規模な侵攻を受けたシンオウ地方だが、カレンが率いる国防軍と在日米軍と義勇軍が力を合わせて、なんとか撃退に成功する。落ち着いてから、こっちに来て合流する。

「…ロシアは……二度…死んだ…」

突然、ヴォルコフは口を開いた。その表情はとても悲しかった。

「一度目は…日本との戦争に敗れ…我がバルチック艦隊が敗れ…ロシア帝国が死んだ…。二度目は…アメリカとの冷戦に敗れ…ソビエト連邦が死んだ…。…だが…これ以上…ロシアを死なせるわけにはいかない…!」

そのとき、ヴォルコフは手にスイッチを構えた。

「これは…お前達によって落とされた…我が旗艦の自爆装置だ…!我々の死を持って…第二次日露戦争を終結させる!」

飛行巡洋艦に搭載された自爆装置の起爆スイッチである。

「じゃあなんで!始めから撤退しなかったのよ!?」

カレンは叫んだ。

「バルチック艦隊としての誇りが我らをそうさせたのだ…。110年以上前の日露戦争で敗北した先祖達の無念を…晴らさせてやりたかった…」

ヴォルコフはその理由を述べた。

「クリエイションドライブのサンプルも手に入れ、今頃は本国に到着している頃だろう。これでロシアのエネルギー問題は解決したも同然だ…悔いはない…」

そのとき、リンマとロシア軍兵士は拳銃を持って、その銃口に自分を向けて引き金を指に触れた。
とくにリンマという少女の姿を見た人々はショックを隠せなかった。まだ15も満たない少女がロシアの軍服を身に纏い、そして『自決』という選択肢を選ぼうとしたことに…。

「リンマ…」

孫娘であるリンマの悲痛の叫びを聞いたヴォルコフは、これでいいのかと悩んだ。
そんなとき、とんでもないアクシデントが起こった。

『プリプリ~』

落書きプリンが出現した。

「え!?」
「こんな重苦しいシーンに落書きプリンですって!?」

モニカとカレンは驚きの声を上げた。
既に歌う態勢に入っていた。

『プ~プルルプ~プリ~プ~プリ~プ~♪』

止めようにも止められなかった。プリンの歌によって、全員、眠らされた。
その後、みんなが眠っていることに気がついた落書きプリンは途中で歌を中断。

『プリ!』

落書きプリンは風船のように頬を膨らまし怒りを露にした。そして、落書きプリンは油性ペンのキャップを外して、眠っている人達全員の顔に落書きし始めた。

『プリ♪』

そして、落書きプリンは満足して、この場から去っていった。
数分後…。眠らされた人達は全員、目を覚ました

「またー!!?」

リンマは顔に落書きされたことに動揺を隠せなかった。

「こんな無様なことがあるか…」

と、ヴォルコフ大将も動揺した。

「あの落書きプリンめ…」
「嘘でしょ…」
「なんなのよあのプリン…」

同じく被害を受けたヴェロニカとカレンとモニカも落ち込んだ。
目を覚ました人達は全員、顔に落書きされたことに気づいて動揺していた。みんなはプリンがやったことに気づいている。

「やっと到着したニャ!」

そんなとき、ロケット団のニャースが現れた。ムサシとコジロウは傍にいないようだ。

「サトシ様、モニカ様、ご無事でなによりでしたニャ!」
「ああ…」
「うん…」

ニャースはサトシとモニカのために駆けつけてきたようだが…。

「「「ニャースが喋ってる!!?」」」

ロケット団のニャースを知らない人々は一斉に驚きの声を上げた。ヴォルコフとリンマ達ロシア軍も同じ反応する。

「日本に喋るポケモンがいるのか!?」
「落書きプリンに続いて喋るニャースとは…」
「なんて恐ろしい国なんだ…」
「我々が負けたのも納得がいく…」

特にロシア軍のみなさんにとっては衝撃的である。

「はっ…制圧しろ!!」

今の状況に気づいたカレンは制圧命令を下した。
カレンの機転によって、無駄な犠牲者を出さずに済み、この戦争は日本の勝利に終わった。

『チョゲ?』

それだけでは終わらなかった。今度はトゲピーが現れた。しかもそのトゲピー、ヴォルコが持っていた起爆スイッチをいつの間にか手に持っていた。

「あっ!そのスイッチは!?」

カレンはトゲピーからスイッチを取り戻そうと動いたが…。

『チョゲッゲッゲッゲッゲ』

そのトゲピーが本性を現した。その表情は可愛いとは無縁で、まさに怖い顔であった。

「あのトゲピー、まさか!?」

サトシには見覚えがあった。

「知ってるのサトシ?」

モニカは聞いた。

「知ってるもなにも、シンオウ地方で旅をしていたときにあのトゲピーと遭遇して、あいつに宇宙に飛ばされて、最後にレックウザに襲われて、散々な目に合ったんだ」

と、サトシは説明する。
サトシとタケシとヒカリのメンバーでシンオウ地方で旅をしていたとき、ある場所にてそのトゲピーと遭遇。そのトゲピーの本性は極悪トゲピー。普段は本性を抑えて猫を被っており、そのせいでほとんどのみんなが騙されている。詳しくはポケモンDPの142話『史上最悪のトゲピー』をご覧ください。

『ポチッ』

そんな極悪トゲピーが起爆スイッチを押した。

「「「逃げろーーー!!!」」」

それを見た人々は全員逃亡。自決する予定だったはずのロシア軍のみんなも含めて…。そして一分後、飛行巡洋艦が爆発した。その後、極悪トゲピーは機嫌良く立ち去っていった。

「やることがえげつない…可愛いのに…」

可愛いポケモンが大好きなモニカにとってはショックであった。
飛行巡洋艦の爆発により、クチバシティは甚大な被害を受けるも、死亡者どころか負傷者はゼロで済んだ。
極悪トゲピー、恐るべし。しかし、それだけでは終わらなかった。

『キー!』

なんとキテルグマが現れた。

「「「ひぃーーー!!!」」」

ロケット団のムコニャは恐怖の叫びを上げた。そして、やっとみつけたと言わんばかりに、キテルグマはムコニャを捕らえた。そして、空中歩行して、両足をプロペラのように回転して、空へと飛んで行った。ムコニャはキテルグマに拉致された。
この光景を目の当たりにしたみんなは唖然とした表情になった。

「な…なにあのキテルグマ…!?」
「ワンピースの月歩をやるとはすごいのぅ…」

リンマとヴォルコフでさえこの反応である。そして、ロシア軍は思った。日本はなんておそろしい国なんだと…。

 

 

その後、捕虜となったリンマとヴォルコフとその他のロシア軍兵士については全員、ロシア本国に強制送還となった。捕虜交換の交渉の価値がないためと、捕虜の食事の費用の節約のためだというのが理由である。全員処刑しても後味が悪いため却下された。どっちにしても、ロシアに軍事行動する力はもう残っていない。同時に、日本とロシアの平和条約が締結されて、敗戦したロシアは日本に多額の賠償金を支払うことに決定し、国交もそのままとなるも、しばらくの間は地球連邦政府の監視下に置くことになった。ヴォルコフはロシア軍を辞任。リンマはロシア軍を除隊し、祖父ヴォルコフと共に普通の暮らしを満喫している。全ロシアリーグチャンピオンマスターであるヴァシリーサについてだが健在中。
日本政府についてだが、第二次日露戦争をきっかけにして、スパイ法と共謀罪を成立。元々進めていた憲法改正も急ピッチに進めて、国防軍の法律をアメリカ軍の法律に改正することが決定した。しかし、国防軍と警察とその他の省庁すべてが地球連邦政府の監視下に置かれることになった。堕落し切った日本に対する制裁であるといわれているが、過去のGHQが諸悪の根源でもある。しかし、GHQはもういないので、法律とか憲法とかなどの改正し放題にもかかわらず、それを行わなかった日本の責任は重大でもある。とはいえ、戦争の傷跡は大きいので、連邦政府はこれ以上咎めなかった。
そのロシアは日本からクリエイションドライブのサンプルを手に入れて本国に持ち帰ることに成功した。これによって、ロシアで大きな問題となっているエネルギー問題の解決に期待が見込めるようになった。

 

 

それから1週間が経過。日本は各国からの援助を受けて、戦争で受けた傷を徐々に復興していった。復興完了まで何年もかかると言われているが、必ず復興されることをみんなは信じている。ゴッドファイブのロケットグループもこの復興に大きく携わっている。義勇軍は解散し、義勇軍に所属していたメンバーのほとんどがその復興に携わっている。有事の際は再び結成されることを約束された。なお、義勇軍のメンバー全員に勲章が授与されたという。
モニカとヴェロニカはアメリカ本国に帰国し、地球連邦軍本部に戻って、第二次日露戦争の戦後処理に当たっている。

「いやだー!サトシと離れるのいやだー!他の女にサトシが汚されるー!」
「わたしと一緒に来い!これは命令だ!そのブラコンを治すいい機会でもある!」
「いやだー!」

帰国途中、モニカとヴェロニカの間でこんなおチャラけたやり取りがあったという。
イッシュ組とカロス組の人達は全員帰国。セレナとエルはサトシと一緒にいたいと拒んでいたが、カロスにいる家族に無事な姿を見せるためにはやむを得なかった。アローラ組も帰国。家族が心配しているという理由である。サトシはアローラのポケモンスクールの生徒だが、ロケットグループの一員として復興に携わるという理由で日本にとどまった。オルハとイーシャとリルとリサも故郷の国に帰国する。オリビエもである。

「そういえば、サトシに褒美をやるのを忘れてたな。まあいいか。また来るし」

と、ヴェロニカは口にする。

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